中国地域CB/SB推進協議会

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特定非営利活動法人不忘アザレア(宮城県白石市)

〜企業が放棄し
行政も二の足を踏んだスキー場の再生〜

特定非営利活動法人不忘アザレア(宮城県白石市)

街づくり・観光・農業体験等の分野で地域活性化のための人づくり・仕組みづくりに取り組むもの

地域活性化・まちづくり



特徴・ポイント


・今までのぬるま湯体質による経営を徹底的に改善
・事業継続のため、利益を出すことを優先的に考えて取り組む
・顧客を継続的に呼ぶために重要な食事を中心とした改善に注力



事業概要


民間企業が放棄した地元のスキー場を、何とか残したいとの思いから、NPO法人を立ちあげ、地元民が中心となって、経営改善を行いながら取り組むことで再生させた。
職員一人一人の意識変革によって着実な改善が図られ、利益を生み出せる体質になった。スキーのシーズンオフには、野草薬草研究会などの活動も積極的に行なっている。


どんぶり勘定からの脱却


子供の頃から慣れ親しんできたスキー場がなくなるというのは、地元の人達にとっては大きな衝撃だった。今でも子供達の冬の遊びと言えば、やはりスキーである。それがなくなってしまうと、子供達も楽しめる場所がなくなってしまう。そんな思いから、地元の医師や旅館業などの人達を中心としてNPOを立ち上げ、スキー場の再生に取り組み始めた。

ところが、実際にスキー場の経営を始めてみると、どんぶり勘定や、職員の仕事への熱意やサービス意識もあまり強くは感じられない状態。これでは経営破綻に繋がってしまうと気付かされる。まずは、このような体質を徹底して変えることから取り組みを始めた。圧雪機のメンテナンスなど大型の発注は、今までは「頼みやすいところに頼む」ということだったのを、すべて見積を取って、安いところに発注するように変えた。とにかく「きっちり見積もりをとって価格を比較してから判断する」という価値観を、徹底して内部に浸透させていった。これを2年間徹底していくことでやっと、この考え方が当たり前の価値基準となってきた。もちろんビジネスライクにただ安いものを採用するという訳ではない。市民のためのスキー場であるという立ち位置は忘れず、企業努力を積み重ねた地元業者への配慮や、小額の発注であまり価格差がない場合は地元を優先することで地域とのつながりも深めている。

顧客を呼ぶためには、まず食事から


あとは食べ物の改善である。スキー客にとっては、スキーで滑ることの次の楽しみと言えば食事だ。その食事がまずくて高いようであれば、顧客は離れていくはずだ。ところが、スキー場のような観光施設では、いわゆる「観光地価格」という割高な料金設定が当然のように行なわれており、他のスキー場と同様に、白石スキー場でも、そのような価格設定になっていた。
この考え方も徹底して打ち壊していった。まずは800円だったカレーを600円に値下げすることから取り組んだ。単に値段を下げるだけであれば簡単だが、値段は下がっても味はアップするようにした。そのために、何度も試食会を重ねながら工夫していった。コーヒーの味が満足できるものになるまでには5年間の歳月がかかった。
また、食事だけに関わらず、顧客からのアンケートをとり、何か不平に気付けば、すぐに直し、よいアイデアがあれば、必ず各部署のスタッフと競技のうえ、その手法を探り出し、即実行することも心がけている点だ。このような地道な活動を続けることで、年間6千万円以上の事業収入を上げられるようになり、一人一人の職員の意識も大きくかわってきたという。


ゲレンデから見たセンターハウス

スキー以外の取り組みも


スキー場と言えば、一般的には冬だけの営業であり、それ以外の活動はあまり行なわれていない。しかし不忘アザレアでは、シーズンオフにも取り組みを行なっている。その中でもユニークなのは、「野草薬草研究会」だ。300円の参加費をもらい、ゲレンデを歩いて、野草や薬草を観察する会なのだが、昨年度は300名以上も参加する人気イベントとなっている。

その他にも、星を見る会やフラワートレッキングなどのイベントを開催するだけでなく、蔵王の清掃活動、植栽事業など環境に対する取り組みも熱心に行なっている。もともと「スキー場は環境破壊につながる」と否定的だった環境団体も、今では、それらの活動を応援してくれている。
地元の人々に愛され、その人達と密着した取り組みを行なうことで、今もオープンし続けることが可能となったスキー場だが、地元以外の人達にとっても、その活動は注目されている。



団体概要


団体名:NPO法人 不忘アザレア 代表者 三浦 義邦
住 所:宮城県白石市
HPアドレス http://www.nposki.com

経済産業省発行「ソーシャルビジネス55選」引用