中国地域CB/SB推進協議会

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特定非営利活動法人島の風

〜島のこしが島おこし〜

特定非営利活動法人島の風(沖縄県島尻郡伊是名村)

街づくり・観光・農業体験等の分野で地域活性化のための人づくり・仕組みづくりに取り組むもの

観光


特徴・ポイント

・地域をそのままの形で残すことを、逆に地域の活性化の目的とする
・商品作りをせず、むしろ観光客を教育するというアプローチのマーケティング
・島民が自分達だけで作業をすることで民家を再生する

事業概要

沖縄本島の北側にある小さな島に住む人達が、そこに残っている沖縄の古民家を再生し、コテージとして運営を始める。現在は2棟を再生し、今後5棟を目標に取り組む。また、商品提供型の観光ではなく、運動提案型の観光を提案し、広く受け入れられている。これらの事業を、すべて島民だけで展開する「コミュニティ・ツーリズム」(観光版のコミュニティビジネス)として注目を集めている。

ものを売るのではなく運動を売る

島の風代表である納戸さんのマーケティングは極めてユニークだ。専門的に言うと「ディマーケティング」となるらしいのだが、拡大しないためのマーケティングを行なっている。このマーケティングのキーワードをお伺いすると、「来るなということだ」という答えが返ってきた。これは、大企業の論理に巻き込まれてしまい、次々と観光客を呼び込み、商品を提供していくという体制になると、島の生活や文化が破壊されてしまうという懸念があったからだ。それで破壊されてしまうと、観光としての魅力がなくなり、誰も来なくなってしまう。このような事例を多く見てきたがゆえに、観光客を呼ばないで、むこうから来た人だけを受け入れていくことを方針とした。また、来た人についても、その人のやりたいことを提供するのではなく、むしろこちらにあわせた過ごし方をしてもらうことにした。
これが、逆に話題を呼び、多くの取材が訪れ、観光客にとっても人気スポットになった。実際に、こちらに合わせない観光客、宿泊客などは叱って、「ここに来るのは10年早い」などと言うこともあるそうだ。このような形で、何らかの観光資源を売るのではなく、観光に関する新たな運動そのものを売っているのが島の風の特徴だ。

地域の人達がついてこられるレベルで

納戸さんは、もともと島の出身者ではない。外部からの移住者だ。その外部者が、ここまでの取り組みができるようになるまでは、それなりの時間をかけている。最初の10年間は、ダイビングショップを経営しながら、ただ島の様子を見ていただけだと言う。10年くらいたつと、少しずつ、島の若い人から、「何か島を救う方法がないか」と相談を受けるようになった。そこから、夜な夜な集まって、どうするかの話をし始めたそうだ。そのときに、「将来はどんな生活をしたいのか?」と聞くと、「今と変わりたくない」との答えが返ってきた。これがヒントになって「島のこしが島おこし」というキーワードにつながったそうだ。また、そのときに、「自分達自身が変わらないと、逆に外から変えられてしまうので、生活を変えたくないなら、自分達を変えよう」ということも伝え、そこから活動が始まったと納戸さん。
それから第一棟目の改修にとりかかったのだが、その際に、お金をかけないで取り組むことに気をつけた。お金がかかりすぎると、島の人がついてこられないからだ。お金をかけないために、材料だけを買ってきて、実際の工事はすべて島の人達だけで取り組んだ。完成までに半年かかったそうだが、自立的に事業をやっていくという意識はかなり高まった。

次の事業に向けて


今は、大型で築120年という建物に取りかかっている。ここは古民家レストランとして再生するそうだ。そのようなことまで手をつけ始めると、段々と事業が成り立つための体制をしっかりとつくっていく必要があると納戸さん。今は20人くらいで取り組んでいるが、その中に5人の中心メンバーがいる。その人達には、島の外もしっかりと見せるため、他の取り組みを見学させて、キーパーソンに会ってもらっている。
大手の旅行代理店などからもアプローチがあるようだが、今はそのようなところと提携する気持ちはないと言い切る。まずは5棟できれば採算がしっかりととれるようになる、その5棟を自分達で何とかすることが最大の目標だ。それができたあとは、10棟に増やし、後からの5棟を他の企業に任せるか、島で新たに旅行代理店を立ち上げるか、そのときに考えるということだ。
今も365日働いている納戸さんだが、毎日やっていることは仕事ではないと思っている。島がそのままの形で活性化していくことを見るのが何よりの楽しみだそうだ。

自分たちで改修した1棟目

事業者からのメッセージ

「小さな島の小さな挑戦」をテーマに進める私たちの古民家プロジェクトは、再生古民家という箱づくりの活動ではありません。美しい島をつくること、美しい島を守ること、美しい島であり続けること、その活動そのものが観光資源として有効に機能することを実証する運動であり、島の誇りの創出事業だと考えています。


団体概要

団体名:特定非営利活動法人島の風  代表者 納戸 義彦
住 所:沖縄県島尻郡
HPアドレス http://www.shimanokaze.jp

経済産業省発行「ソーシャルビジネス55選」引用