中国地域CB/SB推進協議会

  1. Top
  2.  > コミュニティービジネス事例【全国】
  3.  > 一般社団法人ピア

一般社団法人ピア

〜患者さんの不便をプロとして
持続可能な形で解決する〜

一般社団法人ピア(静岡県浜松市)

子育て支援・高齢者対策等の地域住民の抱える課題に取り組むもの

保健・医療・福祉


特徴・ポイント

・強烈な原体験による社会的課題解決へのプロ(医療従事者)としての使命感
・ビジネスモデル構築力と専門家のネットワーク力
・マスメディアを利用した情報発信によるブランディング(認知度・信用度向上)

事業概要

抗がん剤治療の副作用に悩む方々に対し、年間300名弱の人毛ウィッグを製造販売。完全予約制ウィッグ専門美容室ならではのトータルサポートでお客様の治療生活の不便を解消している。09年からは「ピア」のビジネスモデルを他地域で展開すべく、地域の医療・介護専門機関と連携し、パイロットモデル作りに着手する。

治療の副作用に苦しむ患者さんが切実に必要とするものを提供したい

佐藤さんが「ピア」を立ち上げるきっかけとなった強烈な原体験。それは、看護学校2年のときの病院実習での出来事だった。担当したのは抗がん剤治療中の女性。佐藤さんの母親と同い年だったという。副作用で髪が抜け落ちる。カツラ代は100万円。その患者さんは自分の人生が長くないことを悟っていた。差額ベッド代が3〜5万円。そこに2,3ヶ月いる。「お金を使うと娘に残せないよね」。カツラを買わないまま一時期良くなり退院。でも、すぐに戻ってきて亡くなった。副作用に苦しむ患者さんが本当に欲しいものが手に入らないという現実。患者さんに当たり前のQOL(生活の質)を取り戻していただきたい。
カツラを安く提供できるようなシステムを作りたい。当時、看護学校の2年生だった佐藤さんはさっそくネットや図書館でカツラに関する情報収集を開始。3年生の秋に起業した。

「行くから会ってね」。3年生の夏休み、単身で中国のカツラ製造工場へ

カツラとはどのようなもので、どこでいくらで作られているのか? ネットで調べるが情報が何もない。図書館で繊維関係の本を調べて、ようやく世界のカツラの8割が中国で製造されていることがわかった。中国産には日本向けと欧米向けの2種類があり、日本向けはグレードが低いのに金額は高い。間に香港などの商社が絡んでいるからだ。会いに行こう! 英語でホームページを作っているところ200社くらいに片っ端からメールを送った。「カツラを作りたい。小ロットで」。1割位の会社が返事をくれた。しかし、話はしても信用してくれない。しょうがない。看護学校3年生の夏休み、「行くから会ってね」とメールを送り、単身、青島(チンタオ)の工場に乗り込んだ。青島を選んだのには理由がある。青島は旧ドイツ領。文化的なレベルが高く、日本人駐在員も多いため、反日感情が低い。ハブ空港で物流が安定している(その分、若干料金は高い)。これらは貿易の本を斜め読みして仕入れた情報だ。青島の工場の人にはものすごくインパクトがあったようだ。まさか来るとは。「それだけやりたいんだったら、やりましょう」。小ロットなのでディスカウントはなかったが、数社と契約をすることができた。その場でモノを頼んで帰国した。

3年生の秋、5万円で起業した。販売ルートを持たない佐藤さんはネットオークションに出品することにした。最初は同じものを2個発注し、1個は販売、1個は手元に置いて改良を加えた。治療の副作用で髪が抜けても半年で伸びる。伸びると頭が大きくなる。それを踏まえて改良しようと考えたのだ。オークションでも、「安いです。その代わり情報を下さい」とお願いした。看護学校卒業の頃、改良バージョンが出来上がった。「サイズ、髪の色、長さ」を自由に注文できるネットでのオーダーメードシステムを作った。2005年にはお客さんの声に押されるようにカウンセリングを重視するウィッグ専門美容室を開店した。


オーダーメイドウィッグ

更なるビジネスモデル構築への挑戦

「ブランディングするためにメディアに出てごらん」。事業の相談に乗ってもらっているビジネスコーディネーターの方のアドバイスを受け、新聞社に取材してもらった。反響は大きかった。「(佐藤さんのカツラは)知っているけど信用できないと思っていた。人毛の物がそんなに安いわけないし、個人だし、新参だし」という人たちが、「新聞に取り上げられるようなら行ってみようかと思った」。カツラのビジネスモデルは他地域への展開が具体化するところまで成長している。
今、佐藤さんが取り組んでいるのは、「地域の医療関係者と連携し、患者さんが治療を継続する上で被る不便を地域社会の中で患者さんと共に解決していくためのビジネスモデルの構築と展開」だ。カツラも患者さんのQOLを上げるためのビジネスモデルのひとつ。「ビジネスとして認識し、ボランティアでなく、持続可能な形で解決するのが私達プロの務め」。強い使命感と冷静な経営視点を持つ佐藤さんが、今後、どのようなソーシャルビジネスを展開していくのか、目が離せない。


ピアの事業構想概念図

団体概要

団体名:一般社団法人ピア 代表 佐藤 真琴
住 所:静岡県浜松市
HPアドレス http://www2.odn.ne.jp/peer
※ヘアサプライピアは平成21年1月13日に一般社団法人ピアとなった

経済産業省発行「ソーシャルビジネス55選」引用