中国地域CB/SB推進協議会

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特定非営利活動法人パンドラの会

〜障がい者が地域で生き生きと働ける
社会を目指して〜

特定非営利活動法人パンドラの会(愛知県刈谷市)

子育て支援・高齢者対策等の地域住民の抱える課題に取り組むもの

障害者や高齢者、ホームレス自立支援


特徴・ポイント

・時代が求めるものを掴む感性と味・材料・手作りへのこだわり
・大手企業との関係構築による収益の安定化
・何事にも果敢に挑戦する積極性と諦めずにやりとげる行動力

事業概要

洋菓子の製造・販売を通じて障がい者に働く場を提供することで、障がい者と社会が接点を持ち、誰もが生き生きと生活できるノーマライゼーション型社会の実現を目指す。CSRに関心の深い企業との関係作りに取り組み、安定した収益性を確保。障がい者が自立できるよう適正賃金の支払いを目標に事業活動を展開。

障がい者が地域の中で一般市民と触れ合いながら生き生きと働ける場

岡部さんは知的障がい者をもつ息子さんが15歳になったとき、どんな社会になっているかを想像してみた。あまり期待できない。同じような親御さんたちに声をかけ、96年パンドラの会を結成。クッキーを作り、小中学校のバザーで売ってみた。「安くてまずいものはいらないよね」ということで、岡部さん行きつけのお菓子屋さんのパティシエに指導を仰ぎ、プロの技術を取り込んだ。2000年までの4年間で300万円を貯めた。作業所を立ち上げることにした。6名の親が50万円ずつ出し合った。寄付・チャリティーで400万円。手元資金は1000万円。障がい者が地域の中で一般市民と触れ合いながら生き生きと働くことのできる場を作りたい。子供達は育っていく。行政を待ってはいられない。2000年、障がい者小規模作業所「おかし工房パンドラ」設立。目指すは、障がい者が地域社会の中で自然に社会参画できるようなノーマライゼーション型社会の実現である。


共に働く仲間たち

他所にない商品を作り、大企業との関係構築で収益を安定させる

地元の大手企業の社会貢献部署とお付き合いがあり、2000年からは売店においてもらえるようになっていた。初年度の売上は800万円。出て行くお金が少なかったのでなんとかやれたがそのままでは頭打ち。同時期、刈谷の産業祭で別の大手企業のCSR担当の方と知り合った。先方は支援先を探しておられ、NPO法人化することを薦められた。「定款って何?」という状態から始め、01年2月に認証を受けた。その企業との取引がスタートし、収益を安定化させることができた。
パンドラのこだわりは、無添加。福祉価格にしないこと。そして、よそで売っていない機械ではできないクッキーを作ること。まじめに作る。偽装はしない。材料にはこだわる。技術指導をしてくださったパティシエが「いい材料を使って、きちんと作っていれば、お客さんがお客さんを呼んでくださる」とおっしゃった。その教えを今も守っている。

障がい者の中には、計量、数字がよくわからない人もいる。例えば、1、2はわかっても、1回、2回となると理解ができない。周りがその都度教えていては手離れしない。「1、2と聞いてね」と支援者の方にはお願いする。そして、「1やったときは、このカードを出してね」というやり方を決める。作業する人たちが自分で努力するための工夫をするのだ。菓子製造には危険が伴う。「今、後ろを通ります」「オーブン開きます」と声掛けをする。徹底していけない事はいけないと言うし、危険にまつわることをしたときは絶対に許さない。そういう事で安全を確保する。一度も怪我をさせたことがない。保険屋さんにほめられたことが自慢だ。販売に携わる障がい者もいる。売店にクッキーをおいていただいている総合病院へは販売が得意な人を連れて行く。「あなた達が作っているの?」と共感を得た。「一所懸命声を出して売っているこの子達が、あちらにとって癒しの存在になっているかもしれない」、「学校でいじめられていた子もいる。初めは販売も嫌がっていたが、今では販売に行き、笑顔がでるようになった」、「完売すると皆、威張って帰ってくる」と岡部さんは楽しそうに言う。岡部さん自身、仕事を心から楽しんでいる。「だって、毎日、事件が起こる。面白くて仕方がない」

今、パンドラの会では刈谷市の委託を受け、就労支援事業にも取組んでいる。軽度の知的障がいの人たちに工房で社会人常識を身に付けさせ、1日も早く企業に就労させる。07年に1名就労させた。現在、2名の就労支援中である。菓子製造の仕事は全部手仕事。機械化すると障がい者の仕事がなくなるからだ。その分、支援者(親御さん)やスタッフの負担が増える。十分な支援者を雇用するとなると人件費が絶対的に足りない。事業を多様化することにより、収益性を高めていきたいと岡部さんは考えている。障がいのある方々により高い給料を支払うために、また、支援するスタッフが安心して働ける場所にするために。


NPOパンドラの会事業概要図

事業者からのメッセージ

当法人は企業との協働事業を柱に事業展開を進めてきました。
昨年秋からの自動車産業の落ち込みに伴い、各社とも大幅な経費削減を行っています。その影響で、企業からの大口注文は無くなりましたが、食堂での販売や、社内メールでの社員向け販売にはあまり影響がありませんでした。心配していたクリスマス・バレンタインなども同じで、昨年よりも注文が増えたのには、私達も驚いています。
企業からの大口注文は無くなっても、個人的な販売に影響がなかったことについては、大変誇りに思うのと同時に、社員さん一人一人にボランティア精神が芽生えたのではないかと思います。しかし減収は目に見えている為、新たな販売先の確保と顧客をつなぎとどめるための商品の開発や、食の安全に務め、良い商品の提供を進め行きます。
そして、これからも障がい者の雇用を守り、ビジネス性を考え、事業展開を進めてゆきたいと思います。

団体概要

団体名:特定非営利活動法人パンドラの会 代表理事 岡部 扶美子
住 所:愛知県刈谷市
HPアドレス http://www.npo-pandora.com

経済産業省発行「ソーシャルビジネス55選」引用