中国地域CB/SB推進協議会

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有限会社ビッグイシュー日本

〜敗者が復活"がしやすい社会の実現へ 
雑誌販売によるホームレスの自立支援〜

有限会社ビッグイシュー日本(大阪府大阪市)

子育て支援・高齢者対策等の地域住民の抱える課題に取り組むもの

障害者や高齢者、ホームレス自立支援


特徴・ポイント

・「ピンチはチャンス」の発想
・事業性確立のための事前の徹底検証
・ホームレスの人たちをビジネスパートナーにする視点

事業概要

ホームレスの人たちの自立を支援するため、雑誌「THE BIG ISSUE」を月二回発行。ホームレスの方に販売を独占してもらい一冊300円の雑誌を街角で販売し、売上のうち、160円を販売者の収入とする。現在までに販売登録者はのべ800人あまり、うち80名弱の販売者が自立を果たした。大阪で立ち上がった事業が、現在では全国12の都府県に拡大しており、毎号3万部以上を売り上げている。


ビッグイシューの事業モデル

四重苦の狭間から見えてきた必要性

誰もがうまくいかないと言う中、特に「四重苦」が指摘される中、その状況を覆すコンセプトを考え、記者会見をはじめ社会に訴え、反論することで大きな一歩を踏み出す。

四重苦と反論
・「若者は文字を読まない」:若者は何を使っているのか、携帯電話メールである。今ほど若者が文字使う時代はない。
・「路上で本が売れるのか」:本屋においては、毎月いくつもの新刊が出る中で埋もれるだけ。この仕組みでは雑誌ビッグイシューだけを売ってくれる本屋が街中に出現する。生きて移動する本屋。
・「情報は無料ではないか、有料で買う人がいるか」:大手メディアの方々には自主規制してかけないことがある。この雑誌は自主規制がないので面白いことが書ける。他では読めない「情報」を掲載すれば買う人がいる。
・「ホームレスが売れるのか」:足腰が強くないとホームレスはできない。日々命をかけ、食事を得るためだけにでもすごい距離を歩いて移動している。そんな命がけの彼らがやる。売れないはずがない。

事業としての事前検証

立ち上げメンバーの一人が最初にビジネスモデルを持ってきたが、即やろうとはしなかった。コンテンツの確保・流通・価格帯・編集技術・資金確保 そういった事業立ち上げに出てくる壁を一つ一つ落ち着いて検証し、実現できるかどうかを検証していった。例えばコンテンツの確保に関してはISNPというストリートペーパーのネットワークを活用すると無料で記事が確保できることが判明し、それにオリジナルの企画をまぜることで可能になるという検討を実施した。また現在は300円であるが当初は200円(110円が販売者の収入)での販売であった。損益分岐点を考えるとギリギリのラインであったが、他競合雑誌の価格帯を考えると200円という価格帯だと比較する対象雑誌がなく、200円でここまでの雑誌をというのに驚いてもらう必要があった。結果として200円で知名度をあげることができ、最終的に収益面を改善するために300円にしたが、当初より300円にしていたら難しかったかもしれない。

ビジネスパートナーにする

支援もユニークである。当初はマニュアルや販売者への指導をしようという声もあったが、支援なれしているホームレスの人や依存心の強いホームレスの方々にも最終的には自立してほしいという思いもあり、あくまでビジネスパートナーとして対等に接する方針をとっている。手取り足取り教えるのではなく、あくまで商材や研修機会の提供にとどめることで、ホームレスである販売者が自分自身で、創意工夫して雑誌を売り、働く意欲が出てくる。そしてその結果、雑誌が売れたときに感じる達成感が自立への第一歩であり、その隣でただ喜べるような販売支援を手がけたい。またそうすることでホームレスの人同士のつながりがでてくる。定期的に開催している販売者の勉強会では販売者同士が銀座ではこうしたほうが売れる、表参道では・・といった議論が活発になされるそうだ。


ボランティアと共に…販売風景

トータルな支援を目指して

収益事業としての雑誌販売によって働く場を提供することができても、それだけでは就業支援を初め、金銭管理や依存症の克服など自立への条件整備、また、「人」として必要な「遊び」や「スポーツ」「文化」から得られる希望や意欲、次の仕事への自信といった側面を支援するには十分ではない。こちらは収益事業ではなく、NPO法人ビッグイシュー基金を設立し、各種支援プログラムを提供し、ホームレスの人が金銭的だけでなく真に自立した存在となるように支援している。

事業者からのメッセージ

人はなぜホームレスになるのか?失業により収入をなくし、家賃が払えず安定した住居を失う、この二つの条件だけでは、人はホームレスにはならない。このとき、彼が頼れる身近な(あるいは社会的な)絆があれば、ならない。三つ目に、身近な絆がない、又は失うとき、人はホームレスになる。人は絆を失い、一人ぼっちになった時、まず、希望を失いHopelessになり、Homelessになる。このとき、ある人はアルコールに、ある人はギャンブルに逃避し、かなりの確立で依存症になる。日本のホームレス問題は失業問題であるといえる。しかし、ホームレス問題の解決は、希望を失い、依存症になってしまいやすい人間の問題と向き合うことなく、ありえない。仕事を提供する有限会社と並んで、自立支援のNPOが求められる所以である。これらを両輪としていくのがビッグイシューのしごとでもある。


団体概要

団体名:有限会社 ビッグイシュー日本 代表者 佐野 章二 水越 洋子
住 所:大阪府大阪市
HPアドレス http://www.bigissue.jp/

経済産業省発行「ソーシャルビジネス55選」引用